acorn物語
小学3年生の、ある女の子の夏休み。
おじいちゃん、おばあちゃんに会いに行くことになりました。
おじいちゃん、おばあちゃんのおうちはとっても遠く、
移動時間も含めて1週間、おうちを離れることになります。
・・・どろぼうに入られたら、どうしよう・・・。
そう思った女の子は、
勉強机の一番上、カギのかけられる引き出しに、
大事なものを詰め込みました。
ふ~、これでよし♪
女の子は安心して、おじいちゃんおばあちゃんに会いに行きました。
海で泳いだり、山で虫を捕まえたり、
おじいちゃんおばあちゃんも、久し振りに対面する孫に、うれしそう。
1週間後、元気に帰ってきた女の子ですが、
机を見て、大事なことを思い出しました。
いや、大事なことを、忘れていました。
・・・カギ、どこにかくしたんだっけ???
夏休みの思い出が増えた分、
大事なカギのかくし場所を忘れてしまったのです。
たんすの引き出しをさぐったり、
じゅうたんをひっくり返したり、
おうちじゅう、いろんな場所をさがしましたが、
結局、出てくることはありませんでした。
月日は流れ、高校生になった女の子は、
勉強机、使ってないなあ。
でかくてじゃまだし、なにより、やぼったいし。
と、机を処分することに。
机のかたずけをしながら、
あかずの引き出しがあることを思い出しました。
小さい頃、カギをなくしたままだっけ。
中に何入れたんだろ??
どうせ捨てるんだし、下から板を割ってみるか。
工具箱からカナヅチを取り出し、エイヤー、トウ!
薄いベニヤ板は、バキッと割れ、ドサドサーっと中のものが落ちてきました。
うわ~、なつかし~。
当時、流行っていた、におい玉、練り消しゴム、
キャラクターがプリントされたバンソウコウやポケットティッシュ・・・
そういえば、友達と交換したな~。
くすっと、笑みがこぼれました。
バキッ、ドサー、バキッ、ドサドサー。
さらに割り進めて、引き出しはからっぽ。
・・・あ、こんなものまで・・・。
最後に出てきたのは、
丸かったり、細長かったり、小さかったり、
いろんな形をした、大量のどんぐりでした。
・・・こんなもの、どろぼうが入っても、
持っていかないのにね。
*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*
とっくにお気づきでしょうが、文中の女の子は、私。
まるっと実話です。
この思い出以来、
私にとってどんぐりはちょっと特別な存在になりました。
「acorn」は、英語で「どんぐり」の意味。
ニックネームの由来は、こんな理由から。
そして、acornは、学生時代から使っているマイブランドでもあります。
友達からよく、
acornってどういう意味?とか、どう読むの?
と聞かれ、
数年前にmixiに書いた文章なのですが、
この頃の気持ち、大切にしたいなー、と思って、
コチラにも書いておくことにしました。